相続放棄と車に関するQ&A
Q相続放棄をすると、遺産の車には乗れなくなりますか?
A
基本的に乗れなくなります。
相続放棄は、家庭裁判所に申請して、亡くなった方の財産も借金も引き継がない手続きです。
プラスの財産はもらうがマイナスの財産(借金)はもらわないということはできません。
遺産の車に乗り続けることは、プラスの財産をもらったものとみなされるおそれがあります。
プラスの財産をもらったとなると、単純承認といって、相続放棄ができない事由にあたり、相続放棄後でも亡くなった方の借金の請求がきたときに支払う必要が生じる可能性があります。
これでは相続放棄した意味がなくなるため、遺産の車に乗るのは避けましょう。
Q遺産の車のローンがまだ残っていますが、相続放棄をするとどうなりますか?
A
払う必要はありません。
相続放棄をしたことで、亡くなった方の借金は引き継がないことになります。
例外的に、亡くなった方の車のローンの保証人になっている場合は、亡くなった方の借金を引き継ぐのでなく、ご自身の借金なので払う必要が出てきますが、そうでなければ車のローンという借金を払う必要はなくなります。
Q相続放棄をした場合、遺産の車はどうすればよいでしょうか?
A
亡くなった方が使用していたのなら、放置するのが一番無難です。
遺産の車を売却したり廃車することは、財産の処分に当たるので、単純承認という相続放棄できない事由にあたるのが原則です。
そのため、遺産の車を処分せず、放置しておくのが無難ということになります。
ただ、車のローンが残っていてローン会社に所有権があるままの車は、亡くなった方のものでなく、ローン会社のものなので、ローン会社に返却することが考えられます。
また、所有者は亡くなった方だが、家族の方が使用していた車の場合、路上放置などしていると、管理者の責任(民法940条)を問われる可能性があります。
亡くなった方名義の車を使用していた方は、相続放棄しない相続人に引き渡すか、裁判所に申請して相続財産清算人という遺産を管理する方を選任してもらうことを検討するべき場合もあります。